体の隅々まで新鮮な酸素を送り届けることで、筋肉などの体組織も内臓も、細胞レベルで健康な新陳代謝を保つ事ができますが、呼吸器などの疾患や高齢の子では、隠れた酸素不足が懸念されます。
必要な栄養素
呼吸器のトラブルは様々ですが、気管支や肺の組織にはコラーゲンなどのアミノ酸が欠かせません。日々の食事から消化吸収の良い良質なタンパク質を積極的に摂るようにしましょう。タンパク質が不足すると、筋肉や皮膚だけでなく内臓の組織や内分泌物(ホルモンなど)が十分に作られず健康上のトラブルが生じてしまいます。
また微量ビタミンやミネラルも大切です。特に亜鉛は、皮膚や組織の新陳代謝(再生)に重要な役割を果たすため、高齢の犬猫にとっても健康維持には欠かせません。人でも高齢者の褥瘡の予防に亜鉛の摂取が推奨されています。また、ビタミンAやDには粘膜の免疫力を上げる効果も期待されており、呼吸器の感染症などにも効果的です。さらに抗酸化物質にも気を配ることで相乗効果が期待できます。活性酸素による酸化を防ぐことで、細胞レベルでイキイキした体を維持しましょう。
おすすめの食材
消化の良いタンパク源は、卵・肉・魚などの動物性食品全般です。なるべく高温で加熱されていない、消化のよいフードを選びましょう。シニア用や療法食フードには、タンパク質が低めに設定されているものがあるので、トッピングやおやつなどでタンパク源を補給する工夫が必要です。亜鉛といえば牡蠣を思い浮かべる人も多いでしょうが、犬猫にはあまり馴染みがない食材ですし、食あたりなども心配です。無理に牡蠣で亜鉛を与えようとしなくても、亜鉛は牛肉などの赤身の肉にも十分含まれています。鶏肉などの白身肉ばかりでなく、牛や羊などの赤身肉や心臓肉(ハツ)などもローテーションに取り入れましょう。また、抗酸化物質として野菜由来のビタミン・ミネラル・ポリフェノールなどは犬猫にとっても有用です。
呼吸器のためのおすすめトッピング
①骨スープ
こちらから作り方をご覧いただけます。
『ペプチドスープ』もおすすめです。
②ボイルしたお肉
牛肉や羊肉、ハツ(牛、豚、鶏など)を軽く茹でて、汁ごと与えましょう。
(ビタミンA&D補給に人参や椎茸をプラスしても)
③果物・野菜おやつ
果物・野菜をスライスしておやつに。肥満気味の子でもカロリーを気にせずに与えることができます。
※ブドウは(ジュースも)NG!
④抗酸化スムージー
・野菜( 小松菜、セロリ、ベビーリーフ、レタス、キャベツ、キュウリなど)・果物(リンゴ、バナナ、イチゴ、スイカなど)・ヨーグルト・凍らせてアイスにしてもOK!
統合医療栄養学セミナー講師、米国LVT(米国動物看護師)、生活習慣病予防管理士、ペット栄養管理士
米国にてLVT免許を取得後、犬猫のホリスティックな代替医療や栄養学について学び2017年に帰国。2012年より動物病院、獣医師等の医療従事者向け、飼い主さま向けに、栄養セミナー・手作り食セミナーを随時行っています。