人でも食物繊維は重要ですが、犬猫にも適度な摂取は有効です。
自然界での食事では獲物を生骨や羽根ごと食べるため、消化されない部分は便を構成する材料となり、老廃物の排泄に関わっていました。
しかし、人と暮らすようになり、人に近い食事を与えられ、便秘しがちになりました。
腸内で腐敗する物質が滞ると腸内細菌のバランスも崩れます。そのため、食事に適度な食物繊維を加えることで排便を促し、腸内環境を整えることが期待できます。
野菜や海藻から摂る
犬猫の腸内にすむ細菌のバランスは人間とはかなり異なると言われていますが、適度な食物繊維は乳酸菌などの餌になって環境を整えることが期待できます。
ただし、人と同じような穀類や豆類を多用した食事は消化不良になりがちで、消化管内でガスも溜まりやすくなり、腸内環境に悪影響を与えることがあります。
そのため、食物繊維は主に野菜や海藻から摂ることをお勧めします。与える量も人と比べて少なめです。
与え方や量に工夫を
野菜類には食物繊維以外にもビタミンやミネラル、ポリフェノールなどの抗酸化物質が豊富に含まれているため、犬猫にとっても摂取するメリットがあります。
野菜の細胞壁は硬いため、臼歯が発達しておらず丸のみする習性のある彼らに与えるためには注意が必要です。人参やきゅうりをかじって楽しむ子もいますが、硬い野菜をおおまかに噛み砕いて丸のみすると、胃から先に通過できずに吐き戻したりすることもあります。
野菜の有効成分を消化吸収しやすくするためには、加熱して柔らかくしたり、すりつぶしたり、ピューレ状にするなどの工夫が必要です。
海藻には水溶性の食物繊維や新陳代謝に重要なヨウ素などのミネラル類も豊富に含まれているので、時々食事に加えるのも良いでしょう。ただし昆布にはヨウ素が高濃度に含まれていますので、与えすぎには注意してください。
与える量は、食べたあとの様子や便の状態を確認して調整してください。
下痢や嘔吐などがなく排便もスムーズな状態が理想です。
今回は簡単にできる野菜スープをご紹介します。
食物繊維たっぷり!どろっとパンプキンスープ♡
食物繊維のバランスが良く抗酸化力も高いかぼちゃは胃腸を整えるためのイチオシ食材。
甘味のある他の野菜と合わせて、ワンちゃんも大好きなスープになります。
【材料】
◎かぼちゃ 100g
◎人参 100g(サツマイモでもOK)
◎ 水 200cc
◎バター 5g(オリーブオイルでも可)
【作り方】
① かぼちゃ(種をとる)と人参を洗い、適当な大きさに切る
② 鍋に入れて水(骨スープやペプチドスープでも良い)を加え、蓋をして柔らかくなるまで煮る
③ 粗熱が取れたら、鍋の中でハンドブレンダーでピューレ状にする
④直前にバターを加えて混ぜてから与えます
統合医療栄養学セミナー講師、米国LVT(米国動物看護師)、生活習慣病予防管理士、ペット栄養管理士
米国にてLVT免許を取得後、犬猫のホリスティックな代替医療や栄養学について学び2017年に帰国。2012年より動物病院、獣医師等の医療従事者向け、飼い主さま向けに、栄養セミナー・手作り食セミナーを随時行っています。