国産・鹿肉ペットフード専門店

アイコン0120-40-1387
アイコン【受付時間】10:00~21:00(年中無休)

身体の重要な働きを担う腸内細菌 ~長生きの秘訣もアトピーの原因も腸内細菌がカギを握っている!?~

腸内細菌の役割分担

「腸活」や「腸内フローラ」というワードで注目されている「腸内細菌」ですが、それらは私たちの想像をはるかに超える様々な役割を担っています。
ヒトではおよそ1000種類・100兆個の菌が大腸に生息していると言われ、それぞれの細菌の特性から、主に「腸内細「①分解」「②消化」「③うんち」「④抗炎症」「⑤腸管免疫」という5つの役割に分けられます。
そのため「腸内細菌の乱れ」が起きると、便秘や下痢だけではなく、炎症を起こし、病気につながってしまいます。①〜③は消化器官としてよく知られる役割ですが、様々な異物が侵入してくる腸内の防衛ラインとして、⑤の「腸管免疫」も重要な役割を果たしています。
まず小腸に異物の侵入を探知するセンサー(パイエル板)があり、敵がやってくると、血液中や腸管内にいるパトロール部隊が侵入者を感知し、樹状細胞に情報を伝えます。その情報を元に、ヘルパーT細胞という司令塔が免疫細胞に「やっつけろ」と指示を出します。腸にはこのような免疫細胞の約70%が集まっており、それらを「腸管免疫」と言います。
「腸内細菌の乱れ」から「腸管免疫」が破綻すると、風邪をひきやすくなったり、感染しやすくなります。

ほとんどが大腸に生息

腸内細菌は小腸でも胃でもなく、ほとんどが大腸に住んでいます。それはエサが豊富で酸素が少ないからです。腸内細菌はエサが必要で、特に食物繊維が重要です。糖質やビタミン・ミネラルなどは小腸で吸収されてしまいますが、食物繊維(水溶性・不溶性食物繊維)は大腸まで運ばれ食べることができます。さらに腸内細菌は、酸素が苦手な嫌気性菌なので、酸素が取り込まれている胃や小腸では生きていけず、大腸を選んだのです。

善玉菌・悪玉菌・日和見菌

腸内にはさまざまな菌がいます。善玉菌は「乳酸菌」「ビフィズス菌」「酪酸菌」など、悪玉菌は「大腸菌」「ウェルシュ菌」などが有名です。そして、環境次第で善玉にも悪玉にもなる日和見菌がいます。善玉菌・悪玉菌・日和見菌それらが2対1対7の割合で生息しています。
善玉菌がエサを食べると、今話題の「短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸、プロピオン酸等)」という健康に良い成分を出します。これを「発酵」と言います。悪玉菌がエサを食べると「スカトール」「フェノール」「インドール」といった悪性物質を出します。これを「腐敗」と言います。
腸内がいかに発酵状態であるかということがポイントになります。悪玉菌の存在が問題ではなく、善玉菌が減り、悪玉菌が増えすぎることが問題なのです。
善玉菌はエサとなるフラクトオリゴ糖ケストースを摂取することで増加します。日和見菌は優勢の方に付くので、いかに日和見菌を仲間に入れるかもポイントになります。

短鎖脂肪酸の生成

大腸に届いた食物繊維 ・ オリゴ糖 ・レジスタントスターチを食べて乳酸を出す菌のことを総称して 「乳酸菌」 と言います。
食物繊維を食べて乳酸と酢酸を出す菌のことを 「ビフィズス菌」 と言います。
さらに酢酸が増えると酢酸を食べる 「酪酸菌」 が増えます。 酪酸菌は酪酸と酢酸を出します。
このように菌が生成した脂肪酸 (乳酸 ・ 酢酸 ・ 酪酸) をまとめて 「短鎖脂肪酸」 と言います。
アレルギー専門医としては、 中でも「酪酸」 を重要視しています。 「酪酸」が増えることで制御系T細胞が活性化しアレルギーが止まります。
また 「酢酸」 が増えると、 食欲抑制ホルモンや血糖値を下げるホルモンが出ることで食欲が抑制されます。腸内細菌には、 食物繊維が好きな菌や澱粉が好きな菌、 オリゴ糖が好きな菌など様々な菌がいます。
ダイエットしたいからご飯 (米) を抜くといった場合、 一時的には痩せるかもしれませんが、 酪酸を作る菌や澱粉を分解する菌はいなくなるため、 長期的にみると良いことなのか分からなくなります。

腸内細菌が長生きの秘訣

日本で一番長寿と言われるKT市と平均的な都市を比べて腸内細菌層の違いがあるかを調べたところ、KT市は日和見菌に属する「ファーミキューテス門」という菌のグループがとても多いことがわかりました。そのグループの中で多数を占める菌のTOP4が、酪酸を作る菌でした。
長生きしているKT市の人たちは和食、海藻・豆・穀物をよく食べていました。肉ばかりでなく、魚や豆類などを積極的に摂り、早寝早起きし、日中よく動き、ストレスのない生活を送ることで、腸内に酪酸を作る菌を多く保ち、それが長生きする秘訣になっていると考えられます。

健康な子の便を移植

私は「健康な犬」と「アトピーの犬」では腸内細菌層に違いがあるということを見つけました。
下図のドナーA・Bが健康な犬、a〜hはアトピーの犬の腸内細菌層です。 健康な子の便をアトピーの子に移植して観察したところ、56日後には健康な子の便に細菌層が近づいていました。
この結果から、腸内細菌の乱れがあるアトピーの子に、健康な子の腸内細菌を便移植すると、腸内環境がよい状態になり、アトピーの症状である痒みが治るということがわかりました。

腸内細菌を乱す要因

善玉菌を優位にする活動と同時に、悪玉菌が増えてしまうような悪影響を減らす必要があります。
腸内細菌に悪影響を及ぼす要因は「偏った食生活」や「ストレス」、「不要な薬物」や「添加物」の摂取、「加齢」などがあります。
特に妊婦さんは、産前にストレスを受けると胎内の子供に影響が出るとされています。
また、お母さんが高脂肪食を食べていると、それを消化するための「二次胆汁酸」が生成され、その耐性がある菌しか生き残らなくなります。すると腸内細菌層が悪い状態へと変化し、胎内の子供の腸内細菌の乱れや、子供の肥満といった影響が報告されています。
「不要な薬物」も腸内細菌に悪影響を及ぼす物の一つです。論文を調べてみると、悪影響を与える第3位が「抗生物質」、第2位が「糖尿病中和薬」、そして意外にも第1位が「胃薬」などの消化器薬です。
二日酔いや胃がムカムカした時に気軽に飲んでしまいがちですが、胃酸の分泌が抑制されると、口腔内の細菌が胃を通過し腸に流れ込んでしまいます。抗生剤や胃酸抑制剤などを多用している人はどんどん腸内細菌が乱れていくのです。

このように、私たちや犬猫の健康は沢山の微生物に支えられています。
微生物とうまく共生することは、健康のカギと言えますが、気づかないうちに菌の良い働きを阻害していることもあります。
「微生物との共生」という考えを毎日の生活に取り入れてみましょう。

関連記事

PAGE TOP