犬猫のお口の中は人とはかなり違います。自然の中で自ら獲物を捕獲して暮らしていた時期が長く、人と暮らすようになったのは比較的最近のことなので、まだまだ本来の食性や体の特徴が残っています。
口の中のしくみ
人はごはん(米)や野菜などをすりつぶすための臼歯が発達していますが、犬猫は尖った円錐形になっている歯がほとんどです。生きた獲物を仕留めるのに適した形状で、骨と肉を飲み込める大きさに切り裂いたらすぐに丸呑みする仕組みになっています。
この円錐形の歯には、水分の多い生の骨や肉などはするっと剥がれて残りにくいのですが、水分のすくないドライフードやおやつはくっついて残りやすくなります。
特に、米や芋、小麦などの炭水化物が多い食事は歯につきやすく、歯垢・歯石の原因になりがちですので注意が必要です。毎日の歯磨きは大切ですが、できるだけ彼らに適した食事を与えることで、歯石もつきづらくなります。
噛んでストレス発散
噛むオモチャやオヤツが大好きな子は多いですが、狩りをすることがなくなってしまった飼い犬・飼い猫にとって「楽しんで噛む」ことは生理的欲求が満たされ、心理的にも満足するのでストレス発散にもなります。噛むことで歯の掃除が期待できるオヤツも市販されているようですが、完全には取れないのでやはり歯磨きは必要です。
犬猫の歯のエナメル質は人よりも薄いので、硬すぎるものを夢中になって噛んだりすると歯が欠けたり、折れたりする原因になります。
ものによってはのどにつまったりして危険な場合もあるので、安全に噛んで楽しめるオヤツを選んであげましょう。
噛むオモチャも、素材自体や塗料など有害物質が心配な場合があるので安全なものを選びましょう。飼い主の匂いがつた古着を噛むオモチャにする場合もあるでしょうが、柔軟剤などの匂い(合成香料)が呼吸器に害になることが指摘されています。自然なせっけんなどで洗濯したものが安心ですね。また、オモチャは誤飲に気をつけましょう。
噛んで楽しむおすすめオヤツ♪
【野菜スティック(大根、キュウリ、人参など)】
栄養にはなりにくいですが、かじって楽しむにはOK。噛み砕かずに大きいまま飲み込むと吐き戻すことがあるのでご注意を。
【軟骨】
豚や鶏のゆでた軟骨は噛みごたえがあり、コラーゲンたっぷり♪
鶏ナンコツおやつの作り方
沸騰したお湯に鶏の軟骨を入れ、1分ほど茹でたら火を止めて予熱で加熱します。茹で汁も捨てずに食間に与えることで水分補給になります。茹でた軟骨は冷蔵庫で2 ~3日保存できます。
【アキレス腱ジャーキー】
鹿や馬のアキレス腱がおやつのガムとして市販されています。
※鹿の角・牛のヒズメなど、硬すぎる食材はNG!
統合医療栄養学セミナー講師、米国LVT(米国動物看護師)、生活習慣病予防管理士、ペット栄養管理士
米国にてLVT免許を取得後、犬猫のホリスティックな代替医療や栄養学について学び2017年に帰国。2012年より動物病院、獣医師等の医療従事者向け、飼い主さま向けに、栄養セミナー・手作り食セミナーを随時行っています。