気温がぐんぐん上昇する夏は、体温調節機能がその変化についていけないことがあり、熱中症のリスクがあがります。
また気温がそれほど高くなくても、主にパンティング(ハアハア)で体温を調整をする犬にとっては湿度が高い日本での暮らしは大変です。体温調節が苦手な幼犬・シニア犬はさらに気をつけてあげましょう。去年までは大丈夫だった子でも、年齢を重ねるにつれて体力も変わってきますので適切なケアをしてあげたいですね。
脱水を予防すること
水分は体温調節に最も重要な栄養素ですので、脱水を予防することで熱中症対策にもなります。
口からとる水分補給には、
①食事に含まれる水分(食材自体の水分やウエット食など)
②おやつに含まれる水分
③飲水
などがありますが、体への負担を考えると一番理想的なのは①の食事に含まれる水分です。それで足りていない分を②や③で補給することになります。
ドライフードがメインの場合は①が圧倒的に足りないため、意識的に②や③で追加することが重要です。シニアになると喉の乾きを感じづらくなるため、さらにこまめな水分補給が大切です。
対電解質の補給
単純な水よりもアミノ酸や電解質を含む水のほうが、すみやかに体に吸収されます。
簡単で嗜好性が高いのは、以前ご紹介した骨スープやペプチドスープですが、夏にはひんやり冷やして与えるのも体の熱をとるのに効果的です。ただし、お腹が弱い子は下痢の原因になるので冷たいもののとりすぎには注意しましょう。
スープや飲み水には、自然塩をひとつまみ入れると電解質の補給になり吸収力がアップします。
おやつには夏の果物や野菜を薄くスライスして与えるのがお手軽ですが、今回は簡単に作れて楽しめる、水分たっぷりのおやつをご紹介します。
食べることは生きる喜び!
楽しく食べて元気に夏を乗り切りましょう!色の濃い食べ物には抗酸化物質や各種ビタミン・ミネラルが豊富です。抗酸化物質ではブルーベリーやビルベリーなどに含まれるアントシアニンが有名です。
人参やブロッコリーなどの緑黄色野菜にはビタミンAやβカロテン、ビタミンCなどが豊富で、新陳代謝を助け、酸化ストレスの軽減が期待できます。
イチオシはカシス(ブラックカラント)。生では手に入りにくいので、パウダー状の製品をヨーグルトやスムージーなどで摂るのがお手軽です。ただし、レーズンをカシスと呼んでいる製品もあるので注意が必要です。ぶどうは毒性があるため犬猫には禁忌です。
水分補給の楽しいおやつレシピ
【①キュウリとヨーグルトで作る“ライタ”風】
無糖ヨーグルトにすりおろしたキュウリを加え、自然塩をひとつまみ足します。
スプーンですくって少量ずつあたえます。
【②フローズンヨーグルト】
①を凍らせるとフローズンヨーグルトになります!
製氷皿や小さいお皿で凍らせて与えましょう。
アイスキューブにしても良いですね。
【③ 抗酸化フローズンヨーグルト】
無糖ヨーグルトにカシスパウダーやブルーベリーを加え凍らせます。
色も鮮やかで抗酸化力もばっちりです!
【④果物のソルベ】
スイカやキュウイなどの果物をすりおろして凍らせ、完全に凍る前にかき混ぜます。
固く凍っている場合にはすこし溶かしてかき氷状にして与えましょう。
統合医療栄養学セミナー講師、米国LVT(米国動物看護師)、生活習慣病予防管理士、ペット栄養管理士
米国にてLVT免許を取得後、犬猫のホリスティックな代替医療や栄養学について学び2017年に帰国。2012年より動物病院、獣医師等の医療従事者向け、飼い主さま向けに、栄養セミナー・手作り食セミナーを随時行っています。