本格的な夏に向かいグッと暑くなり、体温・水分調整が大変な季節になってきました。室内ではクーラーをかけているお家も多いと思いますが、外と中の温度差も体にかかるストレスとなり自律神経が乱れがちになる季節です。
消化機能が弱くなる原因
消化吸収機能は、副交感神経が優位な時に働くようになっていますが、恒常的にストレスがかかり、交感神経が優位になってしまうと上手く働かなくなります。また、炎症などで傷ついた消化管内の細胞修復も上手くいかなくなってきます。
暑さ対策、急激な温度差などに十分配慮して、体にかかる負担を減らすようにしてあげましょう。
また、食品の中には炎症の原因となる食物不耐性を起こしやすい傾向の食材があり、知らずに腸管の炎症を起こす食材を摂っていることがあります。真性の食物アレルギーは稀です。胃腸の弱い子は、小麦、大豆、とうもろこし、ピーナッツ、乳製品など、一般的に炎症を起こしやすいとされる食材の常食・多食は避けましょう。保存料などの添加物を多く用いたフードも腸内細菌バランスを崩すと考えられるので、フードの見直しもお勧めです。
胃腸が不調の時の注意点
嘔吐や下痢など、お腹の調子が悪い時は、一時的な絶食や食欲不信などにより、食べる量も自然に減ります。
食事から摂取する水分もそれだけ減るので脱水しがちになります。胃腸が完全に回復するまでは、消化しやすい水分多めの食事で体をいたわりましょう。
また、冷蔵庫から出したばかりの冷たい食事は、胃腸へのストレスとなりますので、温めるなどの工夫も必要です。食物繊維が多すぎる食材(野菜、豆類・おからなど)は、弱った胃腸の負担になり、栄養吸収も阻害するので、与えすぎには注意です。
油の消化が不得意な子は、低脂肪の食事などで工夫しましょう。
胃腸をいたわる食事
弱った胃腸に栄養を補給し、胃腸の粘膜を回復するためには、エネルギーだけでなく、アミノ酸やビタミン・ミネラルが豊富で、消化の良い食事が有効です。食物繊維はほどほどにし、消化吸収の良い動物性たんぱく質(アミノ酸たっぷり)中心の水分豊富な食事にしましょう。
骨付き肉の関節部分には、消化酵素の分泌を助けるグリシンや、胃腸の粘膜の炎症を鎮めて細胞修復を促すグルタミン・アルギニン・プロリンなどのアミノ酸が豊富に含まれます。手羽元、手羽先、豚骨、豆あじなどを煮込んだスープは消化も良く大変オススメです。
春夏の旬野菜であるアスパラガスには、内臓を修復するためのアスパラギンが豊富に含まれています。キャベツに含まれるビタミンUや山芋やオクラに含まれるムチンは胃の粘膜を保護します。大根おろしで消化酵素を摂ることも有効です。
●POINT
■ビタミン・ミネラル豊富な野菜は適量を吸収しやすい形で
■脂肪・油は酸化していない新鮮なものを
■胃腸粘膜の修復を助けるアミノ酸たっぷりの動物性たんぱく質を
■蒸す・弱火で煮る・茹でるなどの低温調理で
■水分たっぷりの食事を与えましょう
統合医療栄養学セミナー講師、米国LVT(米国動物看護師)、生活習慣病予防管理士、ペット栄養管理士
米国にてLVT免許を取得後、犬猫のホリスティックな代替医療や栄養学について学び2017年に帰国。2012年より動物病院、獣医師等の医療従事者向け、飼い主さま向けに、栄養セミナー・手作り食セミナーを随時行っています。