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専門家インタビュー

続・身体の重要な働きを担う腸内細菌 ~腸内環境の悪化が様々な病気を引き起こす! ?~

細菌が様々な病気の原因に

腸内の善玉菌、悪玉菌、日和見菌の割合が2対1対7というバランスが健康な状態で、そのバランスが崩れた状態(ディスバイオシス)が病気の発症と関わっていることがわかっています。

例えば、大腸がんは口腔細菌のフソバクテリウムが大腸に流れ込むことが原因です。リウマチはコブリ菌、子宮頸がんはパピローマウイルス、胃潰瘍はピロリ菌、肝臓がんはC 型肝炎、脳出血は口腔内のミュータンス菌、アルツハイマーは歯周病菌のジンジバリス菌、アトピーはブドウ球菌と、病気の多くは菌が原因となっています。

肥満と痩身

太っている人はファーマキューテス門の菌が多く、痩せている人はバクテロイドス門の菌が多いと言われています。2013年ゴードン博士の論文で、健康な双子で体重が違う被験者のそれぞれの便を、腸内細菌を持っていないマウスに移植しどうなるか研究した結果、移植した腸内細菌層がそのままダイレクトに体質や体重の増減につながっていました。つまり腸内細菌は、肥満・痩せるということに関わっているということです。
私の患者様の例ですが、腸活でミニチュア・ピンシャーのワンちゃんのアトピー症状が良くなり、それとともに何をやっても増えなかった体重が増加したことがあります。
パラカゼイ乳酸菌を与えて皮膚が良くなるにつれ、やせ細っていた体に筋肉が付き始め、適正値まで回復しました。
腸内細菌を正常化することにより、体重を適正値に戻す力もあることがわかったのです。

腎不全や尿毒症

高齢の犬猫に多い疾患である「腎不全」も腸内細菌が関わっており、尿毒症物質のすべては腸内細菌が産出しているということがわかっています。
腸内細菌のバランス崩壊( ディスバイオシス)により、腸のバリア機能が低下して、本来であれば腸を透過しない老廃物などが生体内に漏れ出す状態(リーキーガット・腸管漏出症候群)になります。
腸のバリアを突破した有毒な有機物質(インドールなど)は血中をめぐり、腎臓にダメージを与えます。
例えば、抗生剤やリン吸着剤などを使い続けると、エサとなる食物繊維が不足し、腸内の糖分解菌が減少。粘膜分解菌が活発化します。
それにより腸粘膜のバリア機能が崩壊し、腸管漏出から腎臓へのダメージへと繋がります。
食事から摂取したトリプトファンは、腸内細菌を介してインドールとなり、肝臓を経てインドキシル硫酸という尿毒症物質になりますが、本来であれば腎臓から尿とともに排出されます。しかし、腎機能が低下していると排尿量が減少するため、インドキシル硫酸が血中に蓄積され、尿毒症を引き起こします。
このように、腸内環境の悪化から、腎臓へのダメージが積み重なり、最終的には腎不全・尿毒症の発症へと繋がっているのです。
特に腎不全の場合は便秘になりやすく、腸内環境が悪い状態なので、「パラカゼイ乳酸菌」と「ケストース」を摂取することが有効です。

腸内環境強化の3ヵ条

腸内環境を強化するには、
① 良い菌を摂る
② 良い菌を育てる
③ 良い菌を邪魔しない
という3ヵ条が有効です。
「良い菌を摂る」のは、アトピーに関して「パラカゼイ乳酸菌」のエビデンスがあります。
「良い菌を育てる」には、菌のエサとなる食品成分「食物繊維」「レジスタントスターチ」「オリゴ糖」の摂取が大切です。特に腸内細菌を強化するには食物繊維の中でも「水溶性食物繊維」が良いです。
「良い菌を邪魔しない」ためには、「薬物(抗菌剤・胃酸抑制薬・うつ病の薬など)」や「口腔内細菌」、「ストレス」などを避けると良いです。
さらに「不溶性食物繊維」や「ネバネバ食材(ムチン)」は腸壁の強化に役立ちます。

プレバイオティクスが重要

腸活として「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」という用語を耳にされると思います。
プロバイオティクスは良い菌を摂るための食品成分で、プレバイオティクスは良い菌を育てるための食品成分になります。
腸内環境を強化するためにはどちらも大切ですが、腸内には莫大な種類と数量の菌( ヒトはおよそ1000種類・100兆個)が生息しているため、たとえ乳酸菌を100 億個を摂取しても、その数は腸内全体の1万分の1にしか過ぎません。それは5万人収容の東京ドームに5人だけ送り込む程度の割合になります。
そのため、良い菌を摂るだけではなく、今腸内に生息している良い菌を育てるプレバイオティクス(菌のエサ)が重要になります。

「菊芋」は〝効くイモ〞

プレバイオティクスとして今注目している食材が「菊芋」です。
炭水化物は、消化される糖質と消化されない食物繊維に分解されます。
食物繊維には水溶性と不溶性があります。菊芋に含まれる食物繊維量を調べると、水溶性食物繊維が特に多いことがわかりました。
主成分は「イヌリン」で、大腸でGLP-1(インシュリン分泌促進ホルモン)を増やし、サポニン、亜鉛、ビタミンB群、ペクチン、ポリフェノールなどの栄養素も非常に多いです。
イヌリンの効果の一つは、血糖値の上昇抑制です。「食べるインシュリン」と言われ、糖尿病に良いとする様々な論文や書籍が出ています。通常、食事などでブドウ糖や脂質を摂ると、血管や小腸から吸収され血糖値が上がります。
イヌリンを食事の30分前に摂ると、腸をコーティングしてくれるので、糖の吸収や脂質の吸収を抑えられます。
さらに、菊芋に含まれる水溶性食物繊維が腸内細菌のエサにもなり、腸内環境改善を促進します。

オリゴ糖のケストース

腸内細菌のエサとして「オリゴ糖」の摂取も重要です。
糖質には単純糖質と複合糖質があります。オリゴ糖は糖が鎖のようにつながっている状態の複合糖質で、消化する時に1つ1つ切り離し単糖類にして吸収されます。そのオリゴ糖の中で最も低分子なのが、三糖類のケストースです。
グルコースやフルクトース(果糖)といった単糖類は小腸の酵素で分解されるので血糖値が上がります。
オリゴ糖のような三糖類以上は、小腸では分解されずに大腸まで届くので、大腸の腸内細菌を元気にするエサとなります。
ケストースがなぜ腸内細菌に効果があるのかは、そのメカニズムまで全て解明されています。

アトピーにパラカゼイ

健康な犬はTH1型とTH2型のリンパ球のバランスがとれていて腸内環境も良い状態です。しかし、アトピーの子は、TH2型リンパ球が暴走し、腸内環境が悪くディスバイオシスになっています。
そのため痒みもひどく皮膚もボロボロになります。
「パラカゼイ乳酸菌」と「ケストース」を摂取すると「酪酸」が産出されます。その酪酸により制御系T細胞(Tレグ)が活性化し、暴走していたTH2型のリンパ球を抑えます。腸内環境がよくなると皮膚も徐々に改善し、最終的に痒みが止まっていきます。
また、患部に直接スプレーし、表皮の菌の過剰な増殖を抑制する「エリスリトール」が、犬の膿皮症に効果があるという論文も承認されています。
このように、腸活と患部へのアプローチで皮膚疾患はコントロールできます。

良い食事、良い生活環境

腸内細菌は「健康」にも「病気」にも「治療」にも大きく関わります。
腸内環境を強化するには、良い菌を摂り、エサとなる水溶性食物繊維やオリゴ糖で良い菌を育て、ストレス緩和や薬物管理、口腔内ケアなどで良い菌の邪魔をしないことが大切です。
良い食事と良い生活環境を整え、飼い主さま共々、愛犬・愛猫の健康を守ってあげてください。

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