今年も体温調整が大変な夏の季節がやってきました。気温が急にぐんと上昇し、湿気も高くなる日本の夏はわんこの体に負担がかかる季節です。
エアコンなど室内と外の温度差で体調を崩しがちになりますし、汗腺が人のように発達していない犬は汗による体温調節がしにくいため、私たちが感じている以上に影響を受けていることがあります。
特にシニア犬や幼犬では体温調節が苦手になってきますので、この時期の熱中症には充分気をつけましょう。
人と同じように、ワンコも歳を重ねるにつれて感覚機能(視覚、聴覚、嗅覚、寒さや暑さ、喉の渇きを感じる機能など)に衰えがみられるようになってきます。
また、日光浴が好きな子も多いのですが、シニアでは本犬も気がつかないうちに体温が上がってきてしまい、気がついたらすでに熱中症の一歩手前、なんてこともありますので、おうちの中の過ごし方にも配慮が必要です。
大切な水分補給
体温調整に重要な役割を持つのが『水分』です。
犬は人と違って全身から汗をかかないため、暑い時や散歩で体温が上昇した時は、パンティングなど呼吸により放熱しますが、その際に水分も消耗します。
☑なんだか元気がない
☑食欲がイマイチ
☑おしっこの頻度や量が少ない
☑おしっこの色が濃い
☑肌に弾力がない
☑毛並みがバサバサしてきた
☑歯茎が乾いている
などの場合は特に注意が必要です。
気がつかないうちに脱水症状になっている可能性もありますので、夏場は特に積極的にこまめな水分補給が必要になります。
食事から摂取する水分
人では1日に必要な水分の5割弱ほどを食事から摂取しているといわれます。例えば、炊いたごはんは重量の6割が水分ですし、野菜や果物は9割以上が水分です。
アミノ酸・電解質を含める
ただの水よりも、アミノ酸や糖分、電解質などを含んだ水分の方が、体にとっては吸収しやすくなります。このことからも食事で水分補給をするのが理想的だということがわかると思います。
トッピングのお肉や野菜を調理した時の茹で汁に少量の自然塩を足して与えたり、ウェットフードのパウチに残った汁に少量の水を足して与えるなど、いろんな工夫ができます。骨スープやペプチドスープなどを利用するのもとても良い方法です。おやつに水分たっぷりの果物(スイカ、なしなど)を与えるのもおすすめです。
今回は、鶏肉の水煮と野菜を使った水分たっぷりのおやつのレシピをご紹介いたします。
アミノ酸・電解質なども豊富で体が吸収しやすい水分を含み、さらに抗酸化も期待できるおやつメニューです。ペットスタンスさんのレトルトフード『鹿肉の水煮』を鶏肉の代わりに使うと、よりお手軽に作ることができます。
美味しい水分補給を心がけて、体をうるおし、元気に夏を乗り切りましょう!
※ドライフードに水分を追加すると、歯にくっ付きやすくなる場合もありますので、歯磨きなどのお手入れをお忘れなく。
暑い季節におすすめのおやつレシピ
野菜と鶏肉のテリーヌ風 宝石ゼリー寄せ
美味しい色とりどりの野菜で、微量栄養素を補給しながら水分補給
【材料】(小型犬で8食分)
・ 鶏肉 ※『鹿肉の水煮』でもOK!…100g
・ 野菜(全てみじん切りにする)…合計110g
(人参 約30g/キャベツ 約30g/パプリカ 約20g/かぼちゃ 約30g/乾燥パセリ 小さじ1)
・ 水(鶏肉の煮汁)※できれば浄水…150cc
・ 粉寒天…2g
・ 粉末スープ(『ペプチドスープ』がおすすめ)…3g
・ 天然塩…ひとつまみ
【作り方】
【鶏肉の水煮】 (※レトルトの場合は省略)
鍋に水(鶏肉が浸るぐらいの量)を入れ沸騰させる。鶏肉を入れ蓋をして中火で加熱。再沸騰したら火を止め、蓋をしたまま余熱で15分ほど放置する。
※火が通っていない場合は鍋に戻しさらに5分放置。
【野菜の水煮】 ❶とは別の小鍋に、みじん切りした野菜、乾燥パセリ、水(鶏肉の煮汁)を投入。
蓋をして中火で加熱。沸騰したら火を弱め、蓋をしたまま10分ほどとろ火で蒸し煮。火を止めて蓋をしたまま余熱で20分ほど蒸らす。
※この間蓋はとらない。
❷の小鍋を再び弱火で加熱しながら、粉末スープ(ペプチドスープ)と塩ひとつまみを加え、沸騰の直前に寒天を入れてよくかき混ぜる。
※かき混ぜ方が足りなかったり温度が80度以上でないと、均一に固まりません。
❶の鶏肉をほぐして耐熱容器に入れ、❸を全て加えて均一に混ぜる。
粗熱をとってから冷蔵庫に入れ、30分以上冷やせば完成です。
与える際は1食分(小型犬なら1/8)を食べやすく切って与えましょう。
*残った分はガラスの密閉容器などに入れて、冷蔵庫で4日ほど、冷凍で2週間ほど保存できます。
統合医療栄養学セミナー講師、米国LVT(米国動物看護師)、生活習慣病予防管理士、ペット栄養管理士
米国にてLVT免許を取得後、犬猫のホリスティックな代替医療や栄養学について学び2017年に帰国。2012年より動物病院、獣医師等の医療従事者向け、飼い主さま向けに、栄養セミナー・手作り食セミナーを随時行っています。