人だけではなく、犬や猫も腸内環境を整えることで免疫アップや健康増進が期待できます。
腸内環境が悪いと、本来体内に入ってきてほしくない物質が侵入してしま い、アレルギーのような症状が出たり、自己免疫疾患につながります。代謝物の排泄がスムーズでないと毒素が体内に逆流して体に負担がかかったりもします。
また、せっかく摂った食事もちゃんと消化吸収されず、栄養が体の隅々まで行き渡りません。腸内環境は、腸壁細胞の健康と、腸内細菌叢のバランスが鍵になります。
腸の長さが違う
基本的に肉食動物である犬や猫は、人と比べて腸の長さが短く、どちらかというと胃袋が消化のメイン器官になっており、骨や肉の消化が得意です。
本来、食べ物は比較的短時間で腸をするっと通過してしまうのですが、犬や猫は穀類や豆類などの消化が得意ではないため、量を食べ過ぎるとガスが滞留したり炎症反応が起こって腸壁の細胞がダメージを受けたりします。
このような体の違いを考慮して食事を考える必要があります。
アミノ酸で修復
腸内の傷ついた細胞を修復するのに重要なのがグルタミンなどのアミノ酸類です。腸壁細胞の直接の栄養となり再生や修復を助けてくれます。動物性の肉魚卵などに含まれていますが、特に鶏の骨と関節部分をじっくり煮込んだ骨スープにはたっぷり含まれており、消化吸収もしやすいのでおすすめです。
人も「風邪をひいたら温かいチキンスープ」といわれますが、腸内を整えると免疫アップにもつながるので、これは理にかなっています。
野菜は柔らかく
内臓肉(心臓、レバー、腎臓など)や旬の野菜に豊富なビタミン・ミネラルも腸壁細胞の健康には欠かせません。
犬猫は野菜の消化が得意ではないため、野菜はミキサーでピューレ状にするか、柔らかく加熱する必要があります。特に弱っている子は、弱火でじっくり煮込むと煮汁に野菜のミネラル分がたっぷり溶け出してきますので、スープで与えるのがおすすめです。
腸内環境が良くなるスープレシピ
① 下ごしらえ
冷水で骨付き鶏肉(手羽元、手羽先、鶏ガラなど)を洗う。旬の野菜(人参、セロリ、パセリ、ブロッコリー、青梗菜、カブ、キャベツ、サラダほうれん草など)を一口大に切る。
② コトコト煮込む
蓋付きの鍋に①と、お酢小さじ1、天然塩を少々入れ、材料がかぶるくらい水を加え、蓋をして火にかける。ふつふつしたら極トロ火にし1時間。途中、水が少なくなったら足す。
③ 完成!
肉が骨からほろっと外れ、野菜が柔らかくなれば完成!剥がした骨は取り除きましょう。
※鍋はガラスかホーローがおすすめ。ステンレスもOKですがアルミはNGです。
※人肌程度にさまして与えてください。
※弱っている時はスープだけでもOK。野菜を適量与えると食物繊維の補給になりますが、与えすぎにはご注意ください。
※まとめて作って小分け冷凍が便利です。
統合医療栄養学セミナー講師、米国LVT(米国動物看護師)、生活習慣病予防管理士、ペット栄養管理士
米国にてLVT免許を取得後、犬猫のホリスティックな代替医療や栄養学について学び2017年に帰国。2012年より動物病院、獣医師等の医療従事者向け、飼い主さま向けに、栄養セミナー・手作り食セミナーを随時行っています。