人と同じように犬も猫も糖尿病になる子が増えています。
1型糖尿病は膵臓からのインスリンの分泌が弱くなる病気で、人では若年性糖尿病とも呼ばれます。
2型糖尿病は遺伝によるインスリンの分泌低下に加え、生活習慣や肥満などが原因でその効きが悪くなる(インスリン抵抗性)、中年以降に発病することが多い病気です。
犬では1型、猫では2型が多い傾向ですが、犬も中年以降の発症が多いため、肥満などの生活習慣はリスク因子と考えられます。
しかし、糖尿病が進行すると今度は痩せてきます。
糖尿病と肥満
肥満は、糖尿病に限らず多くの慢性疾患のリスク要因となります。
人では肥満と高GI値 (グリセミックインデックス:血糖値を上げる度合い)の食事は、糖尿病の原因になると言われており、犬猫でも注意が必要です。
犬の肥満とインスリン抵抗性は関連があると知られています。
また最近の研究ではインスリン抵抗性と炎症の関連も示唆されており、炎症は肥満とも深い関係があります。
普段から太り過ぎない健康な生活習慣を心がけることで、糖尿病を予防し、また発病したとしても悪化させないことが大切です。
肥満を予防する食事
健康的に肥満を解消し、理想体重を維持するためには筋肉量を減らさずに脂肪だけを落とすことが重要です。
そのためには質の高いタンパク質を十分摂り、良質な脂肪を適度に含む食事を心がけましょう。
ダイエット食には低脂肪にするため糖分(炭水化物)が多い場合があるため注意が必要です。
炭水化物を食べると血糖値が上がりますが、脂肪はその上昇を緩やかにします。
脂質を過度に恐れず、適量摂ることが効果的です。
青魚に多く含まれるオメガ3系脂肪酸には炎症を抑える効果があり、健康的なエネルギー源となります。
動物性のタンパク質は、どれも消化吸収されやすく体内でも利用されやすいため、筋肉量を落とさずに減量するのに向いています。
鶏肉を中心に与えている方が多いですが、アミノ酸の組成は動物によって得意不得意があるため、鶏肉だけに偏らず、豚・牛・鹿肉・魚などをローテーションすることが重要です。
抗炎症作用のある食材
青魚に多く含まれるオメガ3系脂肪酸を手軽に摂るために、イワシやサバの水煮缶などを利用しても良いでしょう。
塩が入っている缶詰もありますが、おやつ程度に与えるなら許容範囲です。
また植物性の油はエゴマ油、亜麻仁油など質の良いものを少量フードに垂らしても良いでしょう。
野菜にも優れた抗酸化作用がありますが、細かく切って煮るなどしないとせっかくの栄養を利用できません。
みじん切りにした野菜を弱火で煮てスープごと与えるのが手軽で効果的です。
家庭で楽しく工夫して、軽やかな体と健康維持を心がけましょう。
●肥満を予防する食事のポイント
■ 高GI値の炭水化物は避ける(砂糖や精製した炭水化物:白い小麦、白米、パンなど)
■ 酸化した油を避ける
■ 低脂肪食に注意(炭水化物量が増える傾向がある)
■ 高タンパクの食事や、抗炎症・抗酸化作用がある食材をとりいれる
統合医療栄養学セミナー講師、米国LVT(米国動物看護師)、生活習慣病予防管理士、ペット栄養管理士
米国にてLVT免許を取得後、犬猫のホリスティックな代替医療や栄養学について学び2017年に帰国。2012年より動物病院、獣医師等の医療従事者向け、飼い主さま向けに、栄養セミナー・手作り食セミナーを随時行っています。