体脂肪には寒さから体を守るという役割があり、野生の厳しい環境で冬を乗り越えるために体脂肪を蓄えることは自然な反応ともいえます。
しかし、狩りをしなくてもよく、室内の環境で生活しているペットたちにとって、冬は太りすぎてしまう季節でもあります。夏に比べて少し体重が増えるのは自然で問題ありませんが、あばら骨がさわれない・腰のくびれがないなど、体脂肪が過剰だったり、ボディコンディションスコア(理想はスコア3)で4以上と判定される場合には、食事や生活を工夫してみましょう。
健康的な食事=理想体重
一般的にダイエットは「低カロリー・低脂肪」と思われがちですが、必須アミノ酸・必須脂肪酸・ビタミン・ミネラル・水分などの、必要な栄養が足りなくなると、不健康で逆に太りやすくなります。摂取した栄養素やカロリーを燃やす(代謝する)ためにも、それらの栄養は欠かせません。ダイエットのコツは、必要な栄養をきちんと満たしながら、全体としてのカロリーを減らすということにつきます。炭水化物は控えめにし、十分なタンパク質(必須アミノ酸)と適度な脂肪(必須脂肪酸)、そしてビタミン・ミネラル、水分が豊富な食事が理想的です。水分摂取は最もベーシックで大事なポイントです。
筋肉は落とさずに
ダイエットでは、筋肉はおとさずに体脂肪だけを減らすのが理想的です。特にシニアでは、筋肉量の低下はQOLの低下に直結しますので、ダイエット中でもタンパク質は十分に摂取しましょう。また低脂肪の食事では、もの足りなさから飢餓感がでて「クレクレ攻撃」が始まったり、必須脂肪酸が足りないと代謝が落ちて痩せにくくなったり、被毛がパサパサになります。質の良い脂肪は適量摂取して炭水化物を減らすのが効果的で、動物もハッピーです。
慢性肥満の炎症にオメガ3
必須脂肪酸のオメガ3系脂肪酸は、代謝を促進し、炎症を鎮める作用があるといわれるため特にオススメです。イワシ・サンマ・サバなどの青魚に豊富ですが、アジ・タイなどの脂肪が少なめの魚にも含まれます。また、野生の鹿肉やグラスフェッド牛(バター)などの、穀類ではなく草を食べて育った動物にも豊富です。体に良いあぶらは、ダイエット中でも積極的に利用したいものです。
運動で体液循環と代謝UP!
寒い季節には散歩が億劫になったり、運動量が減ったりします。運動によるカロリー消費はあまり期待できませんが、体を動かすことで血液・リンパ液の循環が良くなり代謝が上がります。また筋肉量を維持するためにも、運動はとても重要です。体重がおちても、筋肉まで減ってしまうとリバウンドしやすくなります。健康的な食事と運動で理想体重をキープし、寒い冬も元気に過ごしましょう。
統合医療栄養学セミナー講師、米国LVT(米国動物看護師)、生活習慣病予防管理士、ペット栄養管理士
米国にてLVT免許を取得後、犬猫のホリスティックな代替医療や栄養学について学び2017年に帰国。2012年より動物病院、獣医師等の医療従事者向け、飼い主さま向けに、栄養セミナー・手作り食セミナーを随時行っています。